MENU

ナラティヴ・セラピーとの出会い

目次

ナラティヴとの出会い

私が「ナラティヴ」という言葉に興味を持ったきっかけは、とあるスマートフォンゲームでした。

ちょうど、鬱の診断を受けて会社を辞めることになって……と精神が奈落の底に転落し続ける日々を送っていた頃です。とめどなく襲いかかるネガティブ思考からの避難所として、ひとときの安らぎとして、そのゲームに心癒され、救われる思いがしていました。

なんと素敵なゲーム作品なのだろう! と興味を持ち、公式ホームページを見にいくと、そこには制作にあたっての参考文献が紹介されていました。太宰治、カミュ、レイ・ブラッドベリ、伊藤計劃などの著作が並ぶなか、ふと目についたひとつの文献。

早川正祐 (2009), ナラティヴ・セラピーとケア : 当事者の物語の重視とは何か 東京大学大学院人文社会系研究科・文学部哲学研究室応用倫理・哲学論集 (4), 83-97.

http://alterego.caracolu.com/references

ナラティヴ。
ってなんだっけ。

言葉自体はおそらく、本屋で見かけたことがあったのです。『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』、雑誌『WIRED』VOL.34あたりが、昨年よく平積みされていたので。とはいえ、その当時は「昨今の流行ワードのひとつかぁ」くらいの認識で、そこまで気にも留めていませんでした。

ナラティヴについて調べる

ですが今回は、なぜだかわからないけど、とても惹かれるものを感じたのです。すぐにインターネットで検索し、意味としては「物語」であること、その考え方をもとにした「ナラティブ・セラピー」があること、東京に「NPACC(エヌパック)」というナラティブ・セラピーのカウンセリングを受けられる場所があることなどを知りました。

繰り返しになりますが、ちょうど、鬱の診断を受けて会社を辞めることになって……という時期でしたので、なにかしら治療やカウンセリングを受けなければならないと考えていました。なのでこの時、選択肢のひとつとして、ナラティブ・セラピーが候補に挙がった形になります。

ナラティヴの何に惹かれたのか?

さまざま調べるなかで、私の興味をつついてきた要素は3つありました。

  • 創始者のひとりがニュージーランド人である
  • ヴィトゲンシュタインなど哲学者の思想が背景にある
  • 自分の人生を物語として語るということ

    創始者のひとりがニュージーランド人である

    ナラティヴ・セラピーは、「オーストラリアのマイケル・ホワイトとニュージーランドのデイヴィット・エプストンの貢献によって、ある程度のまとまりになった方法論とその技法」(国重浩一『ナラティヴ・セラピーの会話術』P.9)だそうです。

    私は、ワーキングホリデーでニュージーランドに1年間滞在したことがありました。「この経験がない人生なんて考えられない!」と思うくらい、自分にとって重要な出会いや気づきをもたらしてくれたニュージーランドという国が、私はとても大好きです。その国と関わりの深いセラピーとなれば、興味を持たないはずがない。

    哲学者の思想が背景にある

    哲学という分野に普段から興味があるので、とても親近感が湧きました。といっても、現代哲学は分野的にノータッチだったため、このあたりの知識は高校倫理の単語帳レベルなのですが……。

    ただ、哲学が心理療法に活用されている! というのがなんだか意外で、嬉しくもあり、「一体どのような考え方がどのように用いられているのだろう?」と一気に引き込まれた感じがありました。(そして、結局このあたりのことはまだ調べきれていません。深めたい!)

    自分の人生を物語として語るということ

    単純に「物語」というワードに心惹かれました。

    アニメ・漫画・小説・ゲームなど、子供のころから「物語」が大好きで。歌詞やタイトルに「物語」とあっただけで「ん?」と文字に目が留まってしまうような感じもあります。そんな「物語」というワードを冠するセラピーってどんなものだろう? 私の人生、(この頃であれば、「失敗しかないダメダメな人生」と感じていた私の人生)って、どんな物語になってくれるのだろう。そんな期待もあるようなないような。そんな気持ちも湧き上がりつつ、興味をもちました。

    私とナラティヴとのなれそめ(時系列)

    そんなこんなで、ナラティヴ・ワールドに誘われていった私ですが。日記などを読み返しながら、改めて私とナラティヴとのなれそめを時系列順にまとめてみました。

    • 1/12 スマホゲーム『ALTER EGO』でナラティヴという単語を認識する
    • 1/13 ナラティヴに興味を持ち、インターネットで検索をする
    • 1/15 ナラティヴ・セラピーの申し込みをする
    • 1/20 『ナラティヴ・セラピーの会話術』を読む
    • 1/23 ナラティヴ・セラピーのカウンセリングを受ける

    こうして並べてみると、我ながら行動が早すぎる(笑)
    でも、とても私っぽいぞ、この瞬発力。

    もちろん、当時は「鬱をどげんかせんといかん!」と気が急いていて、一縷の希望に必死で飛びつこうとしていた、そういうブーストがかかっていたのもあるでしょうけど。

    ということで、ここから先の話はまた別記事にて!

    目次